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奏美らしい表現だ。
本当は大好きなのに、彼女はいつも、照れ隠しに自分の彼氏の事を茶化して話す。
ヒヨコのような小柄で黄色い髪をした彼は、タバコの火を消し私たちの方へ近付いてくる。
「遅かったな。
奏美の事だから、大学ん中で迷子になってるんじゃないかって思ったよ。」
冗談交じりにそう言った祐輔君を睨む奏美。
だけど、彼女がとてつもない方向音痴である事は私も知っている。
憎まれ口を叩いた後、祐輔君は自分の恋人の隣に立つ私の方へ視線を向けた。
「初めまして!
里衣さん……ですよね?
噂は奏美から聞いていますよ。」
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