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必死にもがこうとしても、背後の彼は私の身体を離してくれない。
傍から見ればきっと違和感はない。
そのくらい強い力で、私は彼に羽交い絞められるかのごとく抱き締められているのだ。
何の前振りもなく突然こんな目に遭うなんて。
彼との再会に期待をしてはいたが、こんな状況になる事はもちろん想定外だった。
強い力で抱き締められたまま、彼の指がゆっくりと私のフェイスラインをなぞる。
そのまま唇に触れる彼の人差し指。
触れ合うその場所だけは、ドキドキと脈打つように熱を帯びていた。
「今日は、君が僕の楽器になってよ。」
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