1◆Fabulous voice

41/52

842人が本棚に入れています
本棚に追加
/433ページ
必死にもがこうとしても、背後の彼は私の身体を離してくれない。 傍から見ればきっと違和感はない。 そのくらい強い力で、私は彼に羽交い絞められるかのごとく抱き締められているのだ。 何の前振りもなく突然こんな目に遭うなんて。 彼との再会に期待をしてはいたが、こんな状況になる事はもちろん想定外だった。 強い力で抱き締められたまま、彼の指がゆっくりと私のフェイスラインをなぞる。 そのまま唇に触れる彼の人差し指。 触れ合うその場所だけは、ドキドキと脈打つように熱を帯びていた。 「今日は、君が僕の楽器になってよ。」
/433ページ

最初のコメントを投稿しよう!

842人が本棚に入れています
本棚に追加