1◆Fabulous voice

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ゆっくりと唇を離し、ステージの方へ一歩後退りした彼。 身体の束縛は解かれた。 なのに、どうして未だに私は動けずにいるのか。 「フフ……、悪戯が過ぎたかな?」 目尻をくしゃっと下げ、彼はにっこりと私に向かい微笑んだ。 「―――……ッ!?」 戸惑いを浮かべる私をその場に残し、そそくさと踵を返す目の前の男。 奔放な彼の行動を理解できぬまま、私はステージに向かう彼の姿をじっと見つめた。 ―――こんな簡単にキスできちゃうんだ……。
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