1◆Fabulous voice

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無意識に目が行くのはギターヴォーカルの手元。 そういえばあの日も、彼はこうやってギターを弾きながら歌っていた。 「ちょっと、大丈夫だった!?」 パフォーマンスのため距離を取っていた奏美が近付き、私の腕を小突きながら心配そうに顔を覗き込む。 「あ、うん……。」 そう返答したものの、本当は全然平気じゃない。 楽しみにしていた彼との再会が、まさかこんな形で訪れるなんて。 あの行動は私の事を覚えていなかったからできたものだろう。 知人だとわかっていれば、あんなこっ恥ずかしい真似できる訳がない。 ―――やっぱり、忘れちゃったんだ。
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