2◆In nostalgia

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脇からくいっと手首を掴まれる。 苛立ち喉が渇き、目の前にあるグラスの中のワインを口にしようとした瞬間だった。 手首を掴む筋張った大きな手は過剰なほどの深爪。 私へ向けられたその声は、数時間前の記憶を再び脳裏に走らせる。 「隣、いい?」 私が返答する間もなく、彼は私の左隣の席に座った。 「ジンジャーエール、頼んでもらってもいい?」 彼の指差す方を見ると、私の座る席の奥にスタッフ呼び出し用のボタンがあった。 こくりと頷き、言われるままに店員を呼ぶ。
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