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そう言いながら、彼は私の腕を強く引く。
俯いたままその場に立たされる。
彼の腕は隣にいる泣き顔の女を庇うかのように、ぐっと自分の方へ私の身体を密着させた。
「ほら、まともに立てないほど具合悪そうだろ?
医師として、やっぱこういうのはほっとけないんだよね。」
全て、彼の誘導に従うまま。
本当はちゃんと立っていられる。
でも今は、みんなにこの泣き顔を見られたくないから彼に従うしかなかった。
「そっかぁ……。
でも、送り狼になるなよ?
ただでさえ、ライブの時……――――――」
「うっせぇな……。
大丈夫だって!」
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