2◆In nostalgia

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大人と子どもの狭間。 大学生って、きっとそういう時期なんだと思う。 成人を迎え、年齢的には大人になっている。 だけど、まだ社会経験が乏しいから、きっと私は子どものままだった。 それでも、やっぱり彼には大人だと思われたい。 中学生のあの頃とは違う、立派に成熟した大人の女だと……―――――― 「覚えてますか……?」 思わず顔を上げて彼の目を見つめる。 しかし彼は、唐突に「覚えていますか」と問う私に怪訝そうな視線を向けた。 「……何を?」 「十年前、MOTOさんが塾講師のアルバイトをしていた時の事。」
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