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視界にはいったものは白く無機質な天井。
今僕はベットに横たわっているのだと知ったのは、目が覚めてから数分経ってからのことだった。
部屋は白くを基調としたシンプルな造りで、物はこのベットとドア以外何もない。
ふと思った。
ここはどこなんだろう?
何故ここにいるんだろう?
ここへ来るまでの記憶は酷く曖昧、いや皆無。
あるものは基本的な知識(言葉など)だけで、思い出とかは無いみたいだ。
こうしているだけじゃあ何も分からない!
とりあえず起きて、探索してみよう!
僕はゆっくり身体を起こし、伸びをした。
ベットから片脚ずつ脚を出し、そっと床に降りた。
ドアだ。そこから出られる。
おぼつかない足取りでドアまで近づき、ドアノブに手を掛けた。
慎重にひねりをいれ 引こうとしたその時
「痛ッ!!!!!」
僕がドアを開けるより先に勢いよく開いた。
ドアが顔面に衝突し、衝撃で思いっきり後方へ飛ばされた。
「大丈夫? まさかそこにいるとは思わなかったよ~! ゴメンよ!」
「い、いえ…。大丈夫です…多分…」
中へ入ってきたのは青っぽいスーツを着た若い男性だった。
ピンク色の髪とヘラヘラした様子から、お世辞にも真面目そうには見えない。
「にしてもさ、さすがだよね! 聞いてはいたけど…。 まさかここまでとは」
男性は目を細め、ニコニコと笑った。
「な、何のことですか?」
突然褒められても、僕には何のことかさっぱりで…そもそも
「そもそもここはどこで、僕は何をしているんですか?」
男性はまた笑った。
「いきなり核心くるね~。 勿体振るの好きじゃないから言っちゃうとね、」
「はい」
「君を誘拐したんだ」
ゆ、誘拐…?
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