Episode 1

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爽志は用があると言って昇降口で大輝と別れた同時刻 この学校の制服を着ていない女子生徒が校内を彷徨いていた と、言うより迷子になっていた この学校に転校してきたばかりの 寿 光流 -コトブキ ヒカル- 一年生 「どうしよう… 迷子になっちゃった…──」 茶色毛並みのふわふわロングヘアを握りしめながら、今にも泣き出しそうな顔で辺りを見回している すると、ふと目に飛び込んできたのが ”図書室“ 「図書室だぁ… ──ちょっとだけなら…いいよね」 転校初日でしかも迷子なのにも関わらず、のんきに図書室へと入っていく光流 カラカラカラ─── 「失礼、しま~す……」 そう言って小さな声ではあるが一応言ってみた もちろん返事などありはしない ここの図書室は三階の一番角部屋 日は射し込むが周りにはとくに教室とかはない 奥に進みいろんな棚を見回す 「本の匂い── やっぱり落ち着く───」 大きく息を吸い込み、そしてゆっくりと吐き出していた 前の高校ではなかった本が沢山置かれていて、光流はドキドキしている 「あっ…これ 前の学校で読んでた途中の──」 そう思って手を掛けようとしたとき、入り口から扉が開く音がした 『ヤバイ……』 咄嗟に隠れようとしたが、迷子なっているのが正しい ここは大人しく出て、職員室を聞いた方が良いのでは── そう思った光流は大人しく出て、誰かが入って来たであろう入り口へと向かった 「あのっ…」 勇気を振り絞り、入り口のところに設置してあるカウンターを背に立っている男子生徒に声をかけた 「まだ生徒がここに居たんですか? もうとっくに予鈴は鳴っていますよ」 後ろ向きで作業をしているため、誰だかわからず取りあえず注意する男子生徒 「いえ、あのそうではなくて…… お聞きしたいことが──」 「聞きたいこと── ですか?」 そう言いながら振り返ったのは紛れもなく生徒会長の爽志だった 「あなたは他校の生徒ですか なぜ校内にいるのです」 言い方は普通だが、紛れもなく怒っている 『この人怖い……眉間にしわよってる』 今にも泣き出しそうな光流は歯を食いしばり事情を説明した 「──そうでしたか 本日こちらに転校してきたのですか」 「はい ですが、職員室を探しているうち迷子になってしまって───」 光流が話をしているのにも関わらず、作業をやめない爽志
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