第十六章 邂逅

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流石に捨ておけないからな。イグニスと地球との関係は。 「私からも報告です。魔族との和解の件、天界の方でも問題ないようです。懸念していたのはイグニスの人が滅びてしまうことですので」 「なら、後は各国の動きか。一国に全魔族を受け入れる、ってことは出来ないからな」 だいぶ解決口が見えてきた。 「このペースなら学校卒業するまでには終わりそうかな」 「それこそ楽観じゃね?」 「まあな」 「後、葵さんのことです」 別のウリエルの報告に思わず固まる。 「強制的に連れて来られたので、このままじゃ葵さんは魔力欠乏症で倒れます。確実に」 「………なんだよ、それ」 声が震えた。 「イグニスにある先天性の病気ですよ。地球と違って大気にも魔力が含まれてますので体内の魔力があまりにも少なすぎると拒絶反応を起こしてしまうんです。個人差はありますが、葵さんは現状、魔力は空っぽですので」 「治療法は?」 「通常ならありません」 一瞬、目の前が真っ暗になる。 「”通常なら”ってことは、何か特殊な方法ならあるのか?」 「はい。葵さんの場合、地球から連れて来られたので魔力が潜在的に眠った状態なんです。それを起こせば大丈夫です」 「待て、地球人にも魔力は元からあるのか?」 竜馬が口をはさむ。 「ありますよ。認識できないだけで」
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