第十六章 邂逅

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「どうすればいい?」 かなり焦りながら尋ねる。こうしている間にも倒れているかもしれないのだ。 「そんなに焦らなくても大丈夫ですよ。いきなり倒れる、というわけじゃないですので。普通に暮らす分には一週間は持ちます。その間に活性化させれば問題ありません」 そこで区切る。 「魔力の活性化は他の人から自分の扱える属性の魔力を一つでも流してもらえれば大丈夫です。葵さんの潜在的に持つ属性こそわかりませんが、下位属性と上位属性なら私達でまかなえます。ルーグさんが火、雷、闇。私が光。竜馬さんが残りの属性です。ただ、特殊属性ばかりだとわからなくなりますが………」 「なら、早速やるか。余裕はあっても早い方がいいだろ」 と竜馬が立ち上がる。俺は焦る余り、魔法を使用した。 「空間転移」 三人ごと寮の自室に跳ぶ。 「焦りすぎだ」 「あれ、いつ帰ったの?」 部屋の中を見渡していた葵がこちらに気づく。内心、安堵のため息をつく。 葵に事情を説明する。 「ならお願い。このままじゃまずいんでしょ」 と、同意を得た所で俺から魔力を流す。 「っ!?」 雷属性の魔力を流したら、葵が反応した。 「今の、何?ピリッときたよ。火の時はなんともなかったのに」 「ビンゴ、ですね」 安堵の息をついた。
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