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「……部長?」 甘く囁くような彩星の声が近くで聞こえて、気付いた時には俺の腰に細い腕が回されている。 「ん?」 余裕なフリをして、振り向こうとしたけど、彼女がそれを許してくれない。 背中で小刻みに何度か頭を振るのが分かる。 「どうした?体調悪くなった?」 それでもまだ頭を振るから、思いきり振り向いて彩星の両肩を掴んで覗き込んだ。 そこにいたのは、潤んだ瞳で畳の上に視線を落とす、さっきよりも真っ赤な顔の彩星。 長くて緩やかにカールした睫毛が震えるように揺れている。 だから、ヤバいんだって、その表情。 「……ずっと、好きでいていいですか?」 その言葉で、俺の心臓は貫かれた。 頬が緩むのと同じ速さで鼓動が速くなって、耳まで赤くなっていくのを自覚する。 俺は焦って、片手で自分の口元を覆った。 「もっと……キス、して?」 上目遣いで投げられた視線が、俺の居場所を無くしていく。 あまりにもストレートな言葉は、俺を射抜いた。 紅潮していく顔の熱を抑えられそうにない俺は、彩星を抱きしめて隠した。
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