174人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
―― side AYASE ――
部長の身体の中に響く音に、耳を立てる。
「……部長?」
何回か呼び掛けても返事が返ってこないから、身体を離そうとした。
「もうちょっと……このままにしてて」
ほんの少し掠れた甘い声が、私の心臓をまた跳ね上げる。
まだ先には進めないけど、もっとちょっとだけ触れていたくて……抱きついたら、部長の大好きな香りがして……もう離れたくなくて。
「……ずっと好きでいていいですか?」
見上げたら、片手で口元を覆ってる部長の揺れる瞳が綺麗で、返事を待たずに、もっとキスして欲しくなった。
あんなこと言ってから、ものすごく恥ずかしくなって……私も抱きついて顔を隠した。
ずっと好きでいていいの?
もう嫌いになっていい恋はしたくない。
「彩星が笑っていてくれるなら、俺と一緒にいて?」
私の両肩を押すように離れた部長がフワリと微笑む。
「ずっと離さないから。俺のこと、好きでいて」
最初のコメントを投稿しよう!