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頭一つ分背の高い方に持ってもらって、
同じ傘で歩き始める。
「今夜は月が見えないな」
「折角、
……だったのに」
同級生の呟いた肝心の言葉が聞こえなくて、
下を向いていた顔を上げる。
同時に赤い傘が視界を遮って、
何か一瞬、
冷えた唇に触れる。
一度離れて、
眼鏡が鼻に当たった。
一時停止していたら、
同級生が囁く。
「悪かった」
謝罪の言葉に我に返って思わず、
雨の中に一人、
駅へと駆け出していた。
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