第1章

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日中に吸収した熱を体内に内包したまま、 眠れない長い夜を迎える。 月が欠けるように、 明けない夜はない。 全てが移ろって行くのならば、 戯れに永遠を夢見ようか。 永い夜の楽園は、 きっと両手を差し伸べて我々の来訪を待ち望んでいる。 引き換えには、 決して大人にならない望みを。 「……先生のマンションまで」 手製弁当のミートボールを食べながら答えると、 初等科から高等科までを同じクラスで過ごした友人が、 含んでいた苺ミルク牛乳を危うく吹き出しそうになった。 発端は授業中、 友人への投げ文だ。 教師の目を盗み、 端末ではなく、 綺麗に折り畳んだ手紙を机に投げ込んだ。 そもそもは友人が、 予鈴の鐘が鳴り終わってからしばらく、 派手に息を切らして教室へ飛び込んできたからである。 ホームルームでは、 服装検査が行われていた。 普段結ばないタイをリボンにした彼女たちが一斉に振り返る。 「遅刻、な」 若い担任教師の言葉に、 友人は頭を下げてから席に辿り着く。 一時限目の授業で睡魔と闘う最中に送った文の返事が、 すぐにノートの切れ端で返送されてくる。 幼馴染みの彼とはどうなったの? が、 こちらの最初の質問。
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