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「佐々木くんか……若くていいのね。私も君みたいな頃があったけど、随分昔になるのね」
「部長はまだまだお若いです」
「そうですよ、まだ今年40じゃないですか」
「照れるのね♪」
頭をガシガシ掻いている部長は、どう見ても25歳以上上と言われても納得しそうな老け顔に見える。
「さあ、中に入るのね。仕事なのね」
部長はパンパンと手を叩く。
「佐々木くん、ウチの部署は仕事はペア制度をとってるのね。でも…今は奇数だから……そうだ、私とペアになるのね。それがいいのね」
“どよっ”と一瞬でどよめいた。
先輩方は『それはマズイです』『それなら部長は私と』『いや、私と!』と、また大騒ぎだ。
「もう決めたのね。一年間はこれでいくのね」
『チッ!』と舌打ちと、恨みがましい視線が僕に注がれる。
(何がどうして初日からこんな……)
よく理解できないまま、僕は部長とペアで仕事をすることになった。
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