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「饅頭部長って、何か臭いがしない?」
「臭い?あ、整髪料かな?」
「うん。あれもするんだけどね……でもさ、私とすれば髪を整える前に、鼻毛を手入れして欲しいわ」
「それには同意見だわ。しかも無駄にキューティクルばっちりなツヤツヤだからよけいイラッとくるのよ」
嫌そうに唇の端を上げ、ギリギリと噛み締めた歯を覗かせている。
僕も鼻毛に関して最初は気になったが、見慣れてくるとない顔が想像できない。
とは、命が惜しくてとても言えない。
「あのさ、こんなこと言うと気分が悪いかもしれないけどね……男と女で臭いが違うみたいなのよ。女が嗅ぐと、加齢臭に整髪料に、あと何かわからないのが混ざって……えげつない臭いに感じるの」
「えげつないぃぃ?」
彼女達は『ええ、えげつないの』と真面目な顔で頷く。
「それが男が嗅ぐとね、なんとも言えない香りなんだって」
「中毒性があって、少しでも一緒にいたくて、離れたくないらしいの」
僕はずっと一緒にいるが、そんな気持ちになったことなんてない。
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