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「たぶんですけど、目力じゃないですか?ほら、部長って見かけによらず潤んだ仔犬のような目をしていません?」
「は?誰が?」
「部長が……ですけど……」
彼女達はザザッと後ろへ下がり、ヒソヒソ話しをする。
「佐々木くん……私達初めて誰かに饅頭のこと聞いたんだけどさ……男にはそう見えてるんだね」
「私達には、タピオカを貼り付けた無表情な埴輪の目にしか見えないもん。仔犬のようななんて表現自体が出てこない」
「そっか……男と女で見え方が違うんだね。それがわかっただけでも……仔犬のようなかぁ……」
彼女達はショックだったようで、肩を落としそれぞれの仕事に戻った。
「タピオカで埴輪?よくわかんないけど、男女で見え方が違うって、かなり不思議」
改めて佐藤部長の底知れなさを思い知らされた気がした。
「でも……強いてあげれば目が可愛いかなと思う以外、そんなに夢中になる要素あるかな?普通に……オッサンだよな」
呟いてから慌てて回りを見たが、幸い誰もいない。
「だけど、あんなに詰め寄られて聞かれたら、良さを追求したくなるよな……」
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