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一階の駐車場に着くと、そこには社長の国産高級車や、重役達の通勤用の車が、まるでショールームか展示会のように整然と並んでいる。
一番はやはり社長の車のようだが、重役達の車もどれもお高そうで、まだまだ僕の手には届かない値段の車ばかりだ。
「鞄に鍵を入れたままだったね」
佐藤部長が背伸びをして、自分のバッグを引っ張る。
僕は慌ててバッグを差し出し、おそらく高級車なんだろうと、佐藤部長の行く先を見た。
そこには……
間違いなく佐藤部長のスペースのようで“佐藤饅頭郎”と書かれた特製似顔絵付き看板が天井近くに掲げられている。
足元には、他の重役はプレートだけのシンプルさであるのに対し、佐藤部長のみ甲子園出場校のプラカードのように重厚なものが、後付け工事により前方に埋め込んである。
その上、七人の小人や白雪姫など、幸せファミリーの庭を彩る置物が、プラカードを守るように楽しげに置かれ、所々に某原住民族の守り神らしき木彫りの置物が並べられているではないか。
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