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口ではそう言い、心配そうな顔をしつつも、相手は腹の中が透けて見える顔をしている。
なんと言うか、『待ってましたぁ!』ってベロリと長い舌で唇を拭った顔だ。
そのタイミングをはずすことなく、佐藤部長も濡れた子犬のような表情を見せる。
計算してなのか、自然とそうなってしまうのか……
僕が見る限り、天性のものがあるとしか思えない。
要するに……ド天然!
「そのうえ新商品も契約しないといけないのね。佐々木くんなんて新人なのに、私と組んだせいでハードルを上げられちゃって可哀想なのね……佐々木くんの分だけでも達成してあげたいのね」
うるうるといつも以上に潤んだ黒目。
そうなってくると、もう佐藤部長WORLDに引き込まれているようで、相手は目を潤ませ何度も『そうですか』『わかります』と相づちを打つ。
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