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「けれど、相手にも都合のあることだから、やっぱりゴリ押しできないのね。私に力がないばかりにみんなに申し訳なくて……私も辛いのね……」
肩を落とし、小さな体をさらに小さく丸め、梅干しを食べたような顔をされたら……
「そんなのお安い御用だ、佐藤さん。貴方のその肩の荷をどうか下ろして下さい。この私どもが、あなたに是非とも協力させてもらいましょう」
全ての会社で、見積り書も何も見ないで、相手は自分の胸をドンと叩き快く即決。
瞬きするくらい、本当にあっという間に商談は成立なのだ。
相手は何をどう契約したかも見ていない。
見ていたのなんて、佐藤部長のうるうる目くらいなんだから。
おそらく、佐藤部長を信用してのことだろうが、信頼度がハンパないだろう。
僕だって、優秀な先輩方でさえ苦労していることや、同期から他の部署の話だって耳にもしている。
(あ……ありえないだろう?)
簡単すぎるよ。
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