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「ある意味、佐々木は一番無難な人材かもしれないな」
先輩の一人がある日そんなことを言った。
「ああ……我々を差し置いてと恨みがましく思ったこともあったが、佐々木はまずまず安全な人間だ」
いったい何が安全なんだ?
聞いてみたいが、聞くのも恐い。
「しかし、あのキュートなプリケツの倍率が日に日に上がるのは如何なものか……」
「ああ。営業の折の定期連絡や、帰社後の事細かな報告を聞く限り、今までお一人で行かせ、どれだけの危険と隣り合わせだったかと思うと……」
「ああ、考えただけでもゾッとする」
「俺はここ何日かで、一気に白髪が増えた」
30代の先輩方は『俺もだ』と髪を摘まみ見せる。
「俺の担当会社でも、しきりに佐藤部長同伴を希望される。業界内で佐藤部長の魅力が広まっているとしか思えん。アラフォー突入の頃から、さらに魅力的になられたからな」
「やはり、外部との接触は控えさせねばなるまい。危険極まりない害虫が寄って来かねないからな」
「ああ…下心を持った輩が、隙あらば佐藤部長に毒牙を……考えただけで脳内で何人かに雷を落としてしまった」
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