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なんと言うか、無自覚に一人の地位も名誉もある男性の人生すら狂わせてしまう佐藤部長の魅力に、ツッコミを入れるどころか納得すらしている自分が恐い。
いや、僕だけではなく、それは先輩方も痛感しているらしく、頭を抱え考え込んでしまったり、何かと戦い壁に頭突きをくらわせていたり……
今まさに、我が部署は異様な空気に包まれている。
「ところで、さっきの書類は何だったんですか?」
この重苦しい空気を打開せねば!と、僕は男らしく斬り込んだ。
「あはっ♪ただの社外研修の参加用紙なのね。とても勉強になるから、是非参加して欲しくてね……ただ、それがちょっと遠いのね。泊まりがけで行ってもらうことになるのね」
佐藤部長が申し訳なさそうに頭を下げてくれるから、僕は慌てて『平気です!』と叫んだ。
先輩たちの禍々しい目も恐かったと言うのも理由だけど。
「し、しかし……僕でいいんですか?まだまだ未熟なノロマな亀なのに?」
「佐々木くんはよくやってくれてるのね。口では厳しいことは言っても、みんな認めてくれてるのね♪」
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