第3話 アイドルの秘密 8

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大阪で一番有名だろう、川沿いに賑やかな看板がある、戎橋からすぐ。 長く伸びる商店街の裏は、宗右衛門町(そえもんちょう)という飲み屋街だ。 平日の七時過ぎだが、男達や、出勤前の女達が道に溢れている。 そんな道を、タクシーが遠慮なく走り、杉田は山上の後ろで必死だ。 「着いたで。杉田君、分かってるやろうけど」 派手な看板がない、落ちついた雰囲気のビルの前。 山上が止まり、振り返る。 「……刑事だって事は、言いませんよ」 「馬鹿か。そんなんより、大事な事や」 山上は、真剣な顔で杉田に言った。
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