12年前 -きっかけ-

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「無理やりだったよな?」 そう言ってうつむく修二を見ると、胸が切なくなった。 俺がこいつにこんな風に思わせているんだと、そう考えると、自然に、 「無理やりじゃねーよ。」 と、答えていた。 「じゃあ…」 じゃあ、なんだ?と聞きたいが、怖くて聞けない。 修二は、若干の期待を持った顔で俺を見てくる。 ダメだ。 俺は、この顔に弱い。 この顔をされると、その期待に答えてやりたくなる。 知ってか知らずか、修二は、 「じゃあ、また、しよう。」 と言ってきた。 やっぱり、と思った。 ここで、嫌だと言ったらどうなる? 修二との関係は終わるだろうな。 キスを受け入れておきながら、次はもうない、なんて、完全に終わる。 修二とはずっと仲良いままでいたい。 修二を失いたくはない。 その気持ちが先行した。 ならば、答えはひとつ。 俺は黙って頷いた。
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