現在 -迷い-

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再会してから、修二とは3回ほど会った。 珍しいことに、俺の仕事が落ち着いていたおかげで、夜の7時頃には会社を出ることができた。 だいたい、毎回、夜の8時に集合し、終電近くまで一緒にいた。 会えなかった時間を取り戻すような、これからの関係を築くような… 会えばひたすら、お互いの事を話した。 修二は、紙の営業と言うだけあって、あの紙は原価が高い、あの紙の光沢はすごい、と、かなりマニアックな話もできた。 制作会社に勤めている俺にとっても、紙の種類だとか、質だとか、価格といったことは、かなり深く関わる内容だ。 修二は、自慢はしないし、売り上げの話も一切しないが、おそらく、かなり営業成績はいいと見た。 紙の知識といい、話し方といい、修二のそれは、信頼に値する。 今度、俺の会社にも営業に来い、と言ったが、友達相手じゃ、利益を乗せられないからパス、と言われた。 全く、修二らしい答えだ。
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