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人だかりから離れたソファで、一人、たばこを吸っている姿は、高校の制服が、スーツに代わり、髪の色が少し暗くなっただけのあいつだ。
近くまで行き、
「修二。」
と声をかければ、こちらを向いて何の動揺も見せず、
「久しぶり。」
とだけ答える修二。
俺もドカッとソファに腰かけた。
「何年振り?」
「約12年。」
「かわらねーな、昴は」
「お前も。」
そういって、目を合わせれば、高校時代と変わらない笑顔。
「何やってんの?仕事。」
「ん?普通に営業。昴は?」
「ん?普通にデザイナー。」
「かっこいいじゃん!なんのデザイナーよ!?」
「ん?グラフィック。広告代理店の下請け。修二は何の営業?」
「紙。ペーパーだよ。」
「じゃ、割と近いな。」
「だな。」
普通の会話。
同窓会でもこんなやり取りを何人かとした。
何も特別じゃない、普通の会話。
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