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ん?
意味がわからず俺は修二を見上げると、
「いや、12年ぶりってことはさ、干支が一回りしたなって。」
「あぁ。」
そんなにたっていたなんて、正直自分でも驚いているくらいだ。
「昴、何線?」
「俺丸の内。」
「あ、俺も。」
路線は一緒でも、駅は違い、職場も違っていた。
「同じ都内なのにな。」
そう笑う修二に、
「なのになんだよ?」
とは聞けず、緩やかに笑い、改札を入った。
『次は~・・』
先に修二の駅についた。
修二は、駅名を告げるアナウンスを耳にし、降りる準備を始める。
そして、ふと、俺を見て、名刺を出してきた。
「え・・?」
戸惑う俺の胸ポケットにその名刺を入れ、
「なぁ、もう一回、友達からやり直さねえ?
やり直す気あんなら、そこにメールして。」
そう言って、胸ポケットをパンと叩き、電車を降りていった。
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