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トキは顔をシンのほうに戻した。
「シン。お前、いく所がないならさぁ。
オレらについてこい」
シンはまだ、怯えた顔する。
「・・・!」
それを見て、トキはシンの頭を
優しくなでる。
「安心しろ。俺らはお前のお袋さんを
殺したやつらと違うから」
トキはシンに優しく微笑む。
シンはその微笑を見たら、
“この人なら、信用が出来る”と不思議と想い始め、
真剣な眼差しでトキを見て、ゆっくりと頷いた。
「うん・・・」
トキはシンのその返事を、
嬉しそうな顔をしながら立ち上がった。
「その前に、お前のお袋さんの墓を
作ってやらないとなぁ。
このままだと、お袋さんが可愛そうだ」
シンは強く頷く。
「・・・うん!!」
シンはトキと一緒に自分の母親のために
立派ではないが精一杯の気持ちで墓を作った。
墓を作り終えると、
シンとトキは手を合わせて拝んだ。
「じゃあ、行くぞ」
シンは立ち上がり、トキたちを追いかける。
「待って・・・!!」
霞はもう一度傘を開き、
トキの後を追うシンの姿を見て、
なぜか、微笑ましく感じられた。
「なんか・・・父と子みたいねぇ」
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