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「伯父さんに話しがあるんです」
「あの客人のことか」
「はい」
「あれが、未来の嫁を連れてきたと言っていたが」
あれ、とは伯父の妻である伯母のことだ。
「はい。伯父さん達に紹介したくて来てもらいました」
「お前の嫁取りは、柊山に一任していたはずだが」
「柊山先生もよくご存知です。先生の元で共に学んでいました」
「ご学友というやつか」
「はい」
「儂のところには奴から何の連絡も入ってないが」
「それは……伯父さんと先生の間での取り決めでしょう、僕は自分の伴侶は自分で探し、決めます」
「幸宏」
伯父は茶で口を潤した後続けた。
「お前も男だから、ひとりやふたり他の女性と懇ろになってもおかしくない歳だ。好きにしなさい。けれど嫁取りとなると話は違う。然るべき家庭の女性でなければ、武の名を名乗らせるわけにはいかない」
「そんなの……時代錯誤もいいところだ」
彼女のことをろくに知りもしないで。かっとなってつい言っていた。
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