小料理屋「春」

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その時 ────カラカラカラ 戸の開く音と 「...... 僕はまだおじさんじゃないですよ」 癖のある低い声が聞こえて そちらへ視線を移すと 確かにおじさんと言うにはまだ早い、知らない男の人が店に入ってくるところだった。 印象的な切れ長の目。 癖のない黒髪。 立ち姿からでも真面目そうな雰囲気が伝わって来る。 ────...? 「おお!秋坂! 菫ちゃんからすれば、お前なんてもうおじさんなんだよ ...もちろん僕もだけど」 ケラケラと子供の様に笑いながら中村さんは言う。 ──ええっ!? この人が秋坂さん...!? 「秋坂さん、いらっしゃい」 隣で驚く私に、母はまた悪戯っぽい笑みを向けて、その人に挨拶をした。
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