4人が本棚に入れています
本棚に追加
え?何の話してんだよ。検査入院?岸が?
「ちょ、ちょっと待って。岸どっか悪いの?」
「え、あんた知らないの?あんなに仲良しなのに。仲良しだと言えない部分もあるのかしら。岸君は本当にいい子ね。あんたも見習わないとね。」
「検査入院って、前からしてるの?」
「前にほら、大学病院に乳がんの検診に行ったじゃない。あの時にお母様にお会いしたのよ。岸君は自販機のとこでジュース買ってたんだけどね。その時に急に泣き出しちゃってね。その後少し話したんだけど、もう無理みたいね…。あら、そういえば、これ口止めされてたんだった。あら、どうしましょ。」
母さんはそう言って俺を見て少し焦りだして、ユリをいれようと合わせていた花瓶をさらさらと触った。
「それ、いつの話?」
「それはね、確か中3の…そうそう、夏休み入る前くらいかしらね。すごく暑かった日だったから良く覚えてるわ。」
中3の夏休みって、俺が岸に兄貴の話を聞いた時じゃないか。
お前、自分が大変な時に、何俺にそんな兄貴が死んだなんて告白しちゃってんだよ。
何で目の前にいるお前のことを真っ先に教えてくれなかったんだよ。
俺ら、昔から何でも話してきたんじゃないのかよ。
「母さんごめん。今日ちょっと遅くなる。」
「え、今から出かけるの?夜御飯はいいの?」
「大丈夫、ありがとう。」
俺は、また岸に聞かなければならないことができた。
“岸には何かもう手遅れな何かを抱えている”
そういうことだ。俺はまだ、この状況を変えられる場所にいる。
まだ、この物語は、終わっていない。まだ、終わらせちゃいけないんだ。
to be continued...
最初のコメントを投稿しよう!