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おかしいな、目の錯覚だろうか。
一度弁当箱のふたを閉じ、もう一度開いてみる。
だがそこには真っ赤な梅干しが、変わらず真っ白な米という大地に、悠然と鎮座しているだけだった。
もしかしたらワクワクが足りなかったのかもしれない。
出来るだけ楽しそうにもう一度閉じて開いてみよう。
「お前はいったい、さっきから何してんだ?」
「わぁ……日の丸弁当、ボク初めて見た」
目の前で弁当箱を開いたり閉じたりしてたから気になってたんだろう。
朝陽が訝しげに声をかけてきた。
夕陽なんかは身を乗り出して、真上から珍しい動物でも見るかのように俺の弁当を見つめている。
そして俺の弁当を見た朝陽は、俺の弁当の蓋に卵焼きやプチトマトを乗せてくれた。
そしてあの無限の食い意地を持つと俺の中で勝手に噂になっている悠哉ですら、唐揚げをいくつか乗せてくれる。
なんかもう物凄く惨めになってきた、泣きそう。
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