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「あ、もうすぐ追いつかれそーだよ?」
「え……?」
呑気に聞こえる夕陽の声に思わず耳を疑った。
がしかし振り返る余裕はない。
きっと振り返ったら、ほんの少しだけ離れて鬼の形相の光が……
「蛍、お前の妹はいったい何もんなんだ」
「わかんねぇ、もしかしたらあれは光に見せかけた別の何かなのかもしれねぇ」
珍しく少し額に汗を浮かべて俺に問う朝陽だけど、俺にも答えなんかわからない。
「怖いよー、なんでこんな目に…」
ほとんどパニック状態の悠哉が泣きそうな声でそう言うと、夕陽が心底不思議そうにこう言った 。
「その事なんだけどさ、なんでボク達まで逃げてるの?狙われてるのは蛍ちゃんでしょ?」
おい、なんで敢えて俺が追求しなかったところを的確に突いてくるんだよ!
大体このまま俺を見捨てるとか、お前ら俺を殺す気かよ!
「蛍、ごめん」
「……すまない」
ちょっと待て、何だよそのマジなトーン。
なんでお前ら減速してんだよ。
なんでお前ら減速してんだよ!
「こンの……裏切り者ぉ!」
なんてやってると、後ろから怒気を孕んだ低い女の声。
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