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ある夏の暑い日。
セミの声が聞こえているけど、さほど気にならない。
そんな放課後の教室で、クラスメイトの三宅くんが私の目を見て言った。
「俺、高屋さんのこと好きです」
「・・・うん」
「付き合って欲しいんだけど、ダメかな?」
そう、手の甲を口に持っていきながら俯向きがちに言った。
恥ずかしいからか、顔は赤くなっているし、もしかしたら耳まで赤くなっているかもしれない。
だけど、この気温のせいだとも考えられる。
「高屋さん、好きな人いるの?」
私が黙っているのを不思議に感じたのか、三宅くんが覗き込むように聞いてきた。
別に断る理由もない。
でもだからといって付き合うのはちょっと違う気がする。
「いないけど・・・」
三宅くんがホッとしたように息を吐いた。
私は不意に、彼の夏服の袖から出ている男の子らしい腕に目がいった。
バスケを中学からやっていると、クラスの何人かの女子が聞き出していた。
そのせいか、体格もいいし体も大きい。
そのくせ爽やかな顔立ちをしているから、むさ苦しいなんて印象は皆無だ。
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