刑事、異世界に行く。

第１章 “発端”

――○○県△△市。

北は山脈、南は海に挟まれた地方都市。
南側の海沿いには、漁港・貿易港や商工業施設あるいは住宅地が集中しており地方都市ながらそれなりに発展している。

―比べて北側の山の方は、何十年か前まだこの国の景気が青天井だった頃にリゾート開発や大規模な住宅市街地開発及び土地区画整理事業が計画され実行に移されたものの、景気が下がり資金繰りが苦しくなり始めると開発計画は次々と凍結 又は放棄され今では建設途中のまま打ち捨てられ多くが無人の廃墟になっている。

そんな今では大人達が見向きもしないし目も届かない場所だからこそ、子供達は危険な場所と知りつつも入り浸り危険な遊びに熱中し、トラブルが起こり、事故・事件に発展するケースが近年多発している。

そして今夜もそんな事件が起きた現場に、県警・生活安全部・少年課に所属する刑事・黒井祐文は相棒で先輩にあたるベテラン刑事と共に向かっていた。