第1章 “発端”

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―現場は数年前に老朽化の為 打ち捨てられ、県も市も解体費用が捻出できなかたためにそのまま放置されていた古い集合住宅の一棟で、ここ2・3年前から昼夜関係なく悪ガキ共が勝手に侵入して溜まり場にしている場所で警察の方でも一応マークしている場所だった。 「―ご苦労様です!」 現場に到着してそうそうに若い警官が祐文達に敬礼を行い出迎える。 「―ご苦労様です。ところで君が一番初めにこの場所に駆けつけたの?」 祐文は自身も敬礼を返しながら、まだ警官になって間もないであろう若い巡査にそう尋ねる。 「はいっ!この近所に住む方から、またこの廃墟で子供達が騒いでいるとの通報を受けたので早速駆け付けました!」 「駆け付けた時の現場の状況と、騒ぎを起こしていた子供達の様子はどうだったの?」 ―祐文の質問に何か思う所があるのか巡査は苦い顔になって答える。 「…随分と酷いモノでした。現場には3人の中学生がいたんですが、内一人は全身に怪我を負ってぐったりしており残り二人はその怪我人を放置したまま現場から逃走しようとしていたんです」 「ではその二人が暴行を加え逃走を図ったと?」 「自分も初めはそう考えて捕まえた二人に対してそう質問したのですが…二人は現場には自分達3人だけでなく、もう一人中学生がおり暴行を加えたのはその少年で自分達はその事が恐ろしくなって逃げだしたと答えています」
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