第1章 “発端”

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「で、その暴行を加えた少年は?」 「それがもう逃走したのか、建物内にはおらず付近を巡回していた同僚に連絡して、この近く一帯を捜索しましたが見つける事が出来ませんでした」 巡査はすまなさそうに報告するが祐文は現場から逃走を図った二人の少年の身柄を抑え、かつ巡査自身は報告していないが怪我を負った少年に応急処置を施し即座に救急車を手配した手際を高く評価していた。 「そんなに気に病む必要は無い。どうせ中学生の足だ、短時間でそう遠くには逃げられないさ…ところで君が身柄を抑えた中学生達は今どこに?」 祐文そう言って若い巡査を励まし、ついでに巡査が身柄を抑えた中学生二人の事も尋ねる。 「彼らなら自分達と同じく通報を受け、ココに駆け付けた警邏中のパトカーの中で待機させておりますが…事情聴取しますか?」 「いや、先に現場検証をしてくる」 そう言って祐文と先輩刑事は、事件の起きた廃墟に足を踏み入れる。
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