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祐文と先輩刑事がそんな話をしながら進んでいるとほどなく事件現場に到着する。
現場は放棄された共同住宅の一室でそこにはすでに県警の鑑識官が検証を行っていた。
「どういった状況ですか?」
祐文は顔見知りの鑑識官に声を掛ける。すると彼は鑑識作業を行いつつ祐文に返事をする。
「まだ詳しい事は解っていないが…何かとんでもない力が急にこの部屋で暴れ回って人を一人、ミンチに変えかけたって感じかな」
「…抽象的な言い方ですね」
「しかしそう言うより他に無い。周りをよく見てみなよ」
そう言われて祐文と先輩刑事は事件現場を改めて見回しその惨状に絶句する。
鉄筋コンクリートの壁には幾つもの大きな穴が空いていて両隣の部屋が丸見え…と言うより繋がってしまっており、更にベランダ部分はキレイさっぱり消し飛ばされおり残骸一つ残っていなかった。
そして何より部屋中の壁や床や天井におびただしい量の血痕が染み付いているという異様で異常な状態だった。
「…一体ここで何があったんだ?」
現場の惨状を目の当たりにした先輩刑事は思わずそう呻く。
そんな相棒の様子に気を掛けつつも祐文の眼は、唯一無事に残っていた部屋の壁に刻まれたあるモノに釘付けになっていた。
「…これはもしかして魔法陣?」
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