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『…とは言え、このままあの状態を放置しておくのは非常に不味い。ただでさえ破戒は眷族に多大な力をもたらすのと引き換えに大きな代償を支払う破目になるのにあの様子では恐らく…』
「…恐らくどうなるんだ?」
ギシェムの呟きに言い知れぬ不安を覚えた祐文は真剣にそう尋ねる。
『力の器、ササノ・トーイとしての自我・精神・魂までもが絶え間なく流し込まれる強大な力によって砕かれ、完全に怪物化し…その命が尽き果てるまで暴れ続けて人には戻れず怪物のまま命を終えます』
「なん…だって…?」
あまりに衝撃的な事実を聞かされた祐文は、ここが未だ闘争のど真ん中にあるにもかかわらず呆然となる…という戦場において致命的なミスを犯してしまう。
「■■■■■■■■ー!!」
かつて佐々野少年だった怪物の咆哮が間近で聞こえた時には全てが手遅れだった。
ドオオオォォォン!!
凄まじい勢いで突撃してきた怪物の体当たりによって轟音と共にぶっ飛ばされ宙に舞い、そのまま地面に叩きつけられる祐文。
『祐文さんっ!!』
ギシェムが神様に似合わない切迫した様子で祐文に声をかけるが…大地に叩きつけられ倒れ伏した祐文は何も答えなかった…
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