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『…さん』
「ん…?」
『…文さん』
「んんっ?」
『祐文さんっ!!』
「つっ!」
自分の事を何度も大声で呼ぶ声を聞いた祐文はようやく意識を回復する。
『大丈夫ですか祐文さんっ!?』
「…痛つっ 何とか死なないぐらいには大丈夫だが、少し負傷し過ぎたかもしれない」
ギシェムの余りの狼狽ぶりに “神様でも焦ったりするのだな“ と祐文はぼんやりと考えつつも自分があの佐々野少年だった怪物にフッ飛ばされ意識を失い、身体中に深刻ではないにしろ無視出来ない程の負傷を負った事実を冷静に分析する。
(はっきりとは覚えていないが、あの佐々野君だった怪物に体当たりを喰らう直前 腕を十字に組み防御を固め少しでもあの凄まじい体当たりの衝撃を和らげようとした所までは覚えているが…どうやらあまり効果的で無かったらしくそのままフッ飛ばされらしい。だがそのまま地面に叩きつけられていたらこの程度で済む筈がないのでどうやら無意識のうちに受身を取っていたのが不幸中の幸いと言う所か。だが…)
「…両腕の負傷がヒドイな、特に尺骨・とう骨は左右共に折れているし、上腕骨にはヒビが入っている…左足は何とか無事だが右足は受身を取った時に威力を殺しきれなかったらしく踝の辺りを捻挫してしまったらしい。その他も身体中あちこち打撲しているらしく強烈に痛くて熱い。更に深刻なのはそのせいで反応と判断力が著しく低下している所か…」
『つっ…!大変な大怪我じゃないですかっ!!』
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