第1章 “発端”

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思わずそう祐文はそう呟きその魔法陣と思われるモノをじっくり観察する。最初はこの廃墟内部に描かれていた落書き同様にココに入り浸っている子供達がイタズラで彫ったモノだと推測する。しかし… (途轍もなく精密かつ綺麗に彫られている、少なくともナイフや彫刻刀など子供達がココに持ち込める道具で彫れるモノじゃあない) 魔法陣をじっくりと観察した祐文はそう感じ、先程声を掛けた鑑識官にこの奇妙な魔法陣について尋ねる。 「すみません。この壁に彫られている…魔法陣みたいなのって、前からありました?」 「ああソレか…その壁の模様な。ウチら鑑識が調べる前からあったよ。でも事件との関連性は低そうだったからちゃんとは調べて無いんだけどね。でソイツが何か?」 「いえ特には、ただこの滅茶苦茶に壊された部屋でほぼ唯一崩れていない壁に彫られていたので少し気になったんですよ」 「…確かにこの現場の状況でそこの壁だけがほぼ崩落していないというのは気に掛かるな。まあ一番後回しになるかも知れないがその壁の辺りもじっくり調べておくわ、調査結果は後日渡すよ」 「ありがとうございます」 祐文達は鑑識官とそんな会話を交えてあらかた現場検証を終えると、その足で外のパトカーに待機させてある今回の重要参考人で当事者でもある二人の中学生から話を聞く為に建物の外に出る。
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