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ギシェムはそう呟き祐文のしたたかさに舌を巻く。
しかしそうしている間にも状況は進んでおり、祐文と怪物はとうとう互いの身体が触れる間合いまで接近していた。
『危ない!!』
祐文のボロボロの身体を案じ、このまま怪物とマトモにぶつかり合えば先程の二の舞になると確信したギシェムはそう祐文に警告を飛ばすが…次の瞬間 信じられない光景を目にする。
祐文は猛烈な勢いで真っ直ぐに突進して来た怪物の左前脚、その熊のような脚部を目にも留まらぬ素早い手捌きで掴みながら怪物の突進を身体全体を瞬時に一斉に動かし入身転換を行い怪物と並ぶようにし突進を回避したその直後――
ドオオオオォォォン――!!
怪物の体が宙に浮き上がり回転して凄まじい勢いで、ともすれば突進を仕掛けて来た時と同じかあるいはそれを遥かに上回る勢いで頭部から地面に叩きつけられて轟音を響かせながらその場に沈む。
『なっ…に…?』
ギシェムはなぜ怪物と祐文がほんの一瞬交叉しただげでなぜあんな事が起こったのか全く理解出来ずに呆然となる。
「■■■■■■■―!!」
祐文に己自身の巨体と強大な力をまんまと利用されて投げ飛ばされ頭部を中心に身体全体を凄まじい勢いで地面に叩きつけられた怪物は苦悶の絶叫を上げてのたうち回る。
(常識はずれの怪物でも自身の全重量と突進時の運動エネルギーをもろに自身で喰らえば流石にダメージを回復するには時間が掛かるか…なら一気に畳み掛けるっ!)
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