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(何とか仕留められた…か?)
怪物の心臓が完全に停止した事を確認した祐文は慎重に右足を怪物からどけて、再び怪物が起き上がって来ないかと緊張しつつ身構えるが…怪物は起き上がる事は無くそれどころか胸部の模様・召喚陣が急激に薄まり消えるのと同時に、まるで逆再生映像の様に体がどんどんと元に戻ってゆき…最終的には元の佐々野少年の姿に戻る。
「どうやら佐々野君を元に戻す事に成功したようだな」
祐文が安堵の声を洩らす。
『えっ…ええ、俄には信じ難い事ですが…』
ギシェムは自分という神の力をほぼ全く借りずに、他の神が産み落とした怪物を独力で退けた祐文の力量にただただ呆然となる。
しかしその間にも祐文はボロボロの身体を引き摺り、倒れ込み心臓を停止している佐々野少年に対し救命処置を始める。
「ギシェム! 私の力だけじゃ佐々野君を蘇生させられない、貴方の力も貸してくれ、あと眷族契約の破棄も頼むっ!!」
『わっ解りましたすぐにやりましょう』
自身の大怪我の治療より佐々野少年の身を案じ彼の救命を優先させる祐文の必死の対応に押されるようにギシェムもまた己がなすべき事を始める。
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