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―トクン トクン
「心臓の鼓動が聞こえる。脈も戻ってきた…なんとか成功したな」
佐々野少年の胸部に耳を当て心臓の鼓動する音を聞き、左手首に自身の指を当て脈を測っていた祐文はそう言って安堵の溜め息を洩らす。
『完全に心臓が停止していたので一時はどうなるかと思いましたが…何とかなりましたね』
「そうだな。貴方の協力があったから何とかなったありがとう」
祐文はギシェムに素直にそう感謝の言葉を送るが、ギシェムの方はまさか祐文が自分に対してそんな事を言うとは全く想定していなかった為に唖然となる。
「…未だ佐々野君が意識を回復しないのが少し気掛かりではあるが、意識を取り戻してまた暴れられても困る。むしろこのまま連れて帰った方が都合が良い…ぐっ!!」
佐々野少年が未だに意識を取り戻さない事を懸念しつつも、意識が回復し再び暴れられる事態を防ぐためにこのまま佐々野少年を連れて、この異世界から地球に帰還した方が良いと判断した祐文だったが…突然苦悶の表情を浮かべてその場に倒れかける。
『どっ、どうしたんですか祐文さん!?』
「痛っ…少し怪我の痛みがぶり返しただけだそんなに心配する必要は無い」
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