刑事、異世界に行く。

第６章 “帰還“

『少し痛みがぶり返しただけって祐文さん、相当 顔色が不味い事になってますよ。少し休息を取った方が…』

「そうしたいのは山々なんだが一刻も早く佐々野君を連れて地球に帰還しなければならない。でないと…」

『でないと…何なんですか？』

「我々、というより私と佐々野君、地球から召喚された人間にとって最後の敵が現れるからだ」

『最後の…敵？』

ギシェムは祐文の言っている事がよく解らなかった…いや薄々は解っていたが、この世界の原初の神々の一柱として理解したくはなかったが…世界はギシェムに否応なく現実を突きつける。

「全員そこから動くなっ！」

そんな険のある声が祐文達３人(内一人は神様だが)に浴びせられる。するとその声に呼応するように祐文達の周囲を集落の住人達が取り囲む。

「…やはり最後の敵もこの世界の人間だったか」

祐文は一人そう呟き表情を曇らせつつ周囲の状況を窺う。