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「は…ぁ。」
背筋を何かゾクゾクしたものが駆けていき、
うっすらと開いた瞳さえもぼやけた。
そんな反応を見ながら、
ゆっくりと舌をからめ始めた。
そこに、力ずくの支配は何処にも存在しないのに、
抗えず、ただその行為に溺れていく。
くちゅ…
吐息の隙間に零れる甘い音。
「はぁっ…。」
やがてふわりとスカートの裾が揺れ、
また…
頭の芯がしびれていく感覚。
「まき……さ…」
途切れ途切れの呼びかけは、
彼に届くはずもなく、
かすれた薄い声は荒い息遣いに掻き消された。
その日アリーナには、
リクルートスーツに身を包んだ研修生男女およそ30名が集められた。
縦横等間隔に直立不動で並ぶ様はどこかの軍隊さながらで、
その表情は皆、硬く刺すような緊張感に包まれている。
そんな彼らの正面にはファイルを手にした5人の教官が等間隔に立つ。
しんと静まり返った会場に、パラリと資料をめくる音が響き、
「さて、今日で研修期間の半分を終了したわけです。」
中央に立つ教官が口を開いた。
「2週間前、研修初日の人数は250名。
そして見事課題をクリアして残ってきたのが、今のあなた方30名です。」
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