第十三話 今日も、また

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俺はその話をゆっくり頷いて、その全ての言葉を自分の脳裏に焼き付けた。 昔から目が悪くて今でもそれは変わってないということ。 20歳くらいには完全に目が見えなくなるということ。 その時期が早くなるかもしれないから、検査入院が決まったがとても不安だということ。 その結果次第では、しばらく母親の実家に帰って自然の中で療養するかもしれないということ。 俺のことが好きだということ。 俺が兄貴を好きだと思ってたということ。 あの時、「本当のこと、澤ちゃんは何にも知らないんだよ。」と言ったということ。 そして、岸は全てを告白した後、自分自身のことを自虐的に非難する言い方をし続けた。 その言葉の羅列に俺はこいつがこんなにネガティブ思考だったのかと少し驚いたが、その言葉を言い終わる度に俺は、 「それでも好きだ。」 と、その言葉の語尾の余韻を俺の気持ちで染めてあげたんだ。 俺と岸は、出会った頃からいつもこんな感じだ。 岸が俺を導いて、俺がそれに応える。 その関係は、きっとずっと続いて行くんだ。 そう思ってた。 でもこれからは、俺がお前を導いてやる。 お前の辞書になるよ、何でも質問しろよ。 何でも聞けよ、全部答えてやる。 俺がお前の、最強の存在になってやるよ。 これは、俺なりの精一杯の、愛の告白だ。 岸、お前が好きだ。大好きだ。
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