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「澤ちゃん、あのね。」
「なあに。」
「今日の天気は?」
「晴れのち、雪かな。」
「だと思った。」
「何でわかんだよ。」
「だって、雪の匂いがした。」
「すげーな、お前。」
「鼻いいんだってば。」
「そうだな。」
「そうだよ。」
お前が俺を導いてくれたように、今度は俺がお前を導く。
今日も、またお前は俺に問いかける。
「澤ちゃん、あのね。」
俺は答える。
「なあに。」
その答えは、俺だけがお前に伝えるんだ。
今までも、そして、これからも。
「澤ちゃんの今日の昼飯、お好み焼きだったの?」
「何でわかんだよ。」
「だって、思いっきり匂い染みついてるよ。」
わかりやすいのも、計算の内だ。
とだけ、言っておこう。お前には内緒だけどな。
目なんて見えなくても、俺がお前の隣にいてやるよ。ずっとな。
fin.
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