第1章

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海辺の街の、その端にある洋装店で私は生まれました。 ううん。本当はお祖母ちゃんが開いた店で、お母さんは生まれたばかりの私を連れて大きな街から帰ってきたの。 でも私の目にはいつも青い海と空と白い風車が映っていた。だから今の私を作ったのはここの景色だと思うんだ。 青い扉を開けると白い壁と焦げ茶色のカウンターがお客様を出迎える。 昔は裁断に使ってた大きな作業机を高くしてカウンターにしたんだって。 もう今の時代、仕立てを望まれるお客様も少ないから大きな机は必要ないからって。 お母さんは高めのスツールに腰かけて外をよく見ている。 誰かを待つような目をして。 私は、お母さんにかける言葉を持たない。 もっと大きくなったら、お母さんの手伝いもできるんだろうな。
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